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想いの先に

Novelsm@Sterのつづき

アイドルマスターの二次創作ものです。
ニコニコ動画で作成した「想いと歌の交差点」の続きの話をテキストにて。
設定等は上記の作成物の続きですので、その辺ご了承ください。
ほとんど自己満足と自己鍛練のために書いておりますが、
お暇な方がいれば、読んでくださるとうれしいです。

なお、「想いと歌の交差点」は下記アドレスから。15話、約2時間20分くらいです。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm8277342

誤字脱字、その他あると思いますが、ご容赦ください。
なお、文章の無断転載等は禁止とさせていただきます。

現在4まで作成してあります。



# by mincarp55 | 2011-12-05 17:46

想いの先に 律子編1 本当の始まり

律子編 1  本当の始まり  

 私、秋月律子が765プロという芸能事務所に関わるようになって、年度で考えれば四年目になる。
 一年目、二年目はアイドルとして、三年目はプロデューサー見習いとして、そしてこの四年目から私は晴れてプロデューサーという肩書で仕事をすることができるようになった。私にとって大きなチャンスになるだろう新年度は、この事務所にとって、大きな転換期を迎えることになる。

 アイドルとして契約をしていた最初の頃、狭い雑居ビルにあった765プロは、今年度からそれなりの大きさの事務所に引っ越し、765プロに常勤として一人しかいなかったプロデューサーは主任プロデューサーという立場になり、あまり手が回らなかったアイドルのためにフリーのプロデューサーとも複数の人と契約するようになった。

 当然、雑務などの仕事も増えるので、事務をする社員も増やした。段々とこじんまりとした零細企業からそれなりの中小企業へと変わっていく。765プロも会社であるから、こうやって発展していけることは、素晴らしいこと。しかし、その分人件費などのコストは今まで以上に大きく膨れ上がるので、相当の数字をあげていかなければいけない。


「この事務所も大きくなるのはうれしいけど、困ることもあるのよね」
 昔からいる事務員である音無小鳥さんが、ため息交じりに言う。
「事務を手伝ってくれる人が増えたんですよ、困ることってあるんですか?」
「人が増えたことが問題なのよ。一人で事務仕事をしてるときは、考え事とかできたけど、他人の目があるとねえ・・・・・・」
「別に仕事の考え事なら・・・・・・集中力が削がれますか?」
すると小鳥さん、ちょっと顔を赤らめる。
「そうね、集中力も削がれるけど、何か恥ずかしいじゃない、我にかえったとき」
「え? ってまさか、仕事以外の考え事のことを言ってるんじゃないですよね、小鳥さん」
「いや・・・・・・なんというか、なんでもないわ」
 少しだけ焦った表情の小鳥さん。この人は昔から、仕事中にわけのわからない妄想にふけこむ。小鳥さんは事務所が小さかろうが、大きかろうが、あまり変わらないだろう。これから、今までとは違ってくるんだろうなという予感がするときに、こうやって変わらなさそうな人がいるのは、妙に安心する。

 この事務所が大きくなったのは、765プロの稼ぎ頭でもある三浦あずさの功績が大きい。女優としても歌手としても評価は高く、CM契約もある。彼女の人気は落ちることなく維持されているので、これは資金面においても非常に心強い。
 そして、徐々に売れ出した菊地真、萩原雪歩、今年は大きく勝負に出たい星井美希、水瀬伊織というアイドルも控えている。彼女たちが売れてくれれば、この事務所は更に大きくなる。でも、万が一売れなければ、あずささんにおんぶに抱っこ状態になり、あずささんの人気が下がったり、引退するとなれば、たちまち雑居ビルに逆戻り、最悪は倒産だ。

 そういったことを考えると、社長は本当によく勝負に出たなと思う。社長は、真、雪歩、美希、伊織に関して更にブレイクさせる自信があるのだろうか。それとも確信がなくとも、ビジネスというのは勝負に出なければいけないものなのか。
 ここで私もプロデューサーとして、それも765プロの社員なのだから、社長の期待に応えられるよう頑張るべきなのだが、私の割り当てられた担当は、その期待の4人のうちの誰でもない。

 私が、社長に命じられた担当は、二人のアイドル。一人は天海春香。そしてもう一人は如月千早というアイドル。しかし、春香と千早には、因縁めいたものがあった。


 春香は、三年前に「みんなを笑顔にするアイドル」を目指し16歳でデビューする。当時は笑顔が魅力的で、かわいらしいちょっとドジな感じのアイドルとして売っていた。
 一方、千早は同時期に15歳でデビュー。2月の早生まれの誕生日だから、春香より歳は一つ下のように見えるが、実際は同じ学年だ。千早は春香とは違い、笑顔が魅力的というアイドルではなく、実力で売っていくことを志していた。そして、期待の新星、注目の歌姫と言われ、歌唱力は抜群で、当時アイドルだった私も度肝を抜かれた。
 しかし、千早は歌に関するこだわりは半端なく、難しい性格、悪く言えば生意気とも言われていた。
 
 当時の765プロは、千早の扱いに苦慮していた。当時私はアイドルで、千早とそれなりに仲が良かったけれど、そういうところはわからない部分が多かった。実際、千早の性格やアイドル活動への姿勢は、受け入れられるものではなかったらしい。
 そこで765プロは、そう言った面での改善を図るため、千早に積極的に話しかけていた春香とのユニットを提案したが、千早は『春香とは歌えない』と、事務所を辞めてしまった。

 春香は、千早と歌えることを楽しみにしていたショックもあったが、それ以上に自分の技術力の無さを痛感し、そして皆の自分への期待に応えるべく活動を行うのだが、そのプレッシャーから彼女の良さである笑顔が消え、活動自体も尻すぼみになってしまう。
 その後、千早の話は事務所では実質的にご法度になっていたが、4か月前の12月に千早本人から私に連絡があった。そして、春香や社長、当時のプロデューサーに非礼を詫びたいと。

 その時、春香はアイドルの引退を考えていた。結果が出ないことは、本人にとっても辛かっただろう。しかし、765プロはアイドル活動を続けさせる方向でいたので、まだプロデューサー見習いだった私が、説得をしている最中だった。このタイミングを私は逃すわけにはいかなかった。
 春香は笑顔を取り戻せれば、もっとやれると思ったし、千早が歌を歌っていないのは、もったいないとも思った。どうにかして、二人に再スタートをしてほしかった。だから、私はいろいろ動いた。

 結論からいえば、彼女たちは今ここにいるのだから、再スタートを切ることができた。春香と千早は、お互いに思っていたことをぶつけ、お互いによく理解をしたようで、今では親友のような付き合いをしている。これは本当にうれしいこと。

 けれど、春香と千早の件で私が動いたからといって、この二人の担当を私がするとは思わなかった。いや、本当は少しはそんなこともあるかなと思ったけど、最初は一人だけを担当するような気もしたし、ある程度方向性が決まっている真や雪歩を担当するのが妥当だろうと自分では思っていた。

 社長はこの2人に関して、今後大きく伸びると期待していて、その上で私に担当させると説明した。「まあ、じっくりやってみたまえ」と社長は言う。
 でも、じっくりとやっている余裕があるようには思えない。せっかく任された手前、「任せてください」と社長に堂々と言ってみてしまった。だって、2人の再スタートを強く願ったんだのは私なんだから、やっぱり私が何とかしていかないといけない。

 春香は高校も卒業してしまったので、完全にアイドルが専業であり、いつまでも売れないアイドルを続けていくのもまずい状況、言わば崖っぷちアイドルだ。ただ、春香に関しては、デビュー当初のような笑顔も見られるようになり、その上で技術力や精神力も上がっているように思うので、私としてもやりやすい方向に来ていると思う。

 千早は春香と違い、何とか今年合格した大学に通いながらの活動になりそうだが、歌にかける意気込みは今でも半端ないだろう。アイドル時代に仲がある程度よく、復帰を取り持ったとはいえ、如月千早の歌の世界を私はプロデュースできるのだろうか。
 そして、もう一つ心配な事として、千早はまだ私の中でしっくりこないところがある。昔の千早は、とても鋭い感じがしていたのに、そういう面が見られない。千早は過去を反省しているというが、あまり大人しすぎるのもどうなんだろう。

 なんだかんだで、私にとっても、春香にとっても、千早にとっても、この新年度は重要だ。春香も千早も今は底辺、もしかしたらまっさらな新人より難しいかもしれない。でも、そこから何とか這い上がらせることを考えないといけない。
 そうじゃないと私たちのアイドルマスターの物語は進んでいかないのだから。



# by mincarp55 | 2011-12-03 18:01

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